必死になって勉強する

単位がヤバくなった経済学部生の、必死になって勉強する記録。教科書を読んでそのレジュメを作ることが至上命題。

ESの書き方みたいなもの

忙しすぎて書けていなかったので、このところ就活をしていて感じたことを書こうかと。

今日は、ESについて。

友人数人からESについて相談を受けたので、私が彼らのESを見て思った感想を書いておこうと思う。文章に書き慣れていない大学生だとよくやりがちなミス(私自身、2年の頃NPOでさんざんミスをした)だから、他の方の参考になるのではないかと考える。

ESについて、多くの人は「what」「how」を書いて終わっている。つまり、質問に答えて終了しているのである。だが、ESを読む人はそこが聞きたいのではない。なぜその「what」をやろうと思ったのか、つまり「why」の部分を聞きたいと思っているのである。

自分は「先陣きって人が嫌がることもやれる性格[what]」という自己PRをしたいとする。そのためのエピソードとして、「サークル活動で、みんなのメールの返信が早くなるような施策を打った[how]」というものを入れたとする。そしてそのことについて事細かに説明を加える。ESで落っこちてしまう人は、ここで終わっていることが多い。

まず前提として、ESにはその人の「考え方」や「価値観」が現れている必要があると思う。でないと、ESの意味を果たさないからである。正直何をやったか、というのはよほどすごい実績がないと(かなりデカいビジネスコンテストで優勝した、とか)注目されないのである。

したがって私を含め、まともに大きな実績や業績を持たない一般人がとるべき戦略は、いかに読み手を、「動機」の部分で動かすかということになる。つまり、その行動を起こそうと思った(美しい)理由で読み手の心をつかむ必要が出てくるのである。

であるから、我々は必ずESに”why”を書く必要が出てくる。

what、why、howの整理

自己PRでサークルについてアピールしたい人の例を、whyの部分も加えて整理すると、以下のようになる。

  • what[あなたは何なのか]: 必要だと思うことは、たとえ人の嫌がることでも先陣を切ってやれる性格
  • how[何なのかを根拠付けるエピソード、どうしたのか]: サークル活動で、みんなのメールの返信が早くなるような施策を打った
  • why[なぜ、その行動を取ろうと思ったのか]: メールの返信が遅いことは、サークルのみんなが困っていた。しかし、現実は誰もそれを改善しようと思わず、ならば自分がやったほうが早いと考えたから。

whatは、読めばわかるフレーズにする必要がある。だから、最も具体的に書かれる必要がある。whatの具体性については重々チェックするようにしたい。

howについては、詳しいことは面接で、というスタンスでよいと思う。自分がESを読む側だったとして、やったことを事細かに説明されるのはどう感じるだろうか?「そこが知りたいんじゃねーよ」という気分になるはずである。あと、howが長い文章は、基本的に何がいいたいかよくわからない。

しかし、このhowでは内容が薄いので、「施策」として時系列で何をやったかということ、その反響を書くべきかもしれない。howについてはその行動の合理性を客観的に担保できるか、が勝負になるだろう。だから、他人から何か評価をもらったのであれば、ぜひ書くとよい。

なお、whyの事実関係ついてだが、その当時、なぜ自分がそうするのかを考えながらやった人はほとんどいないと思う。したがって、完全な事実とは言いがたい。しかし後付で構わないから、そのときのことを思い出して書くことが重要である。なぜなら、whyはあなたの性格を真に表すものとなりやすいからである。ぜひ、自分の深層心理を探って欲しい。

(もちろん、これは私の経験でもなんでもなく、適当にでっちあげたストーリーだから、多少論理的に破綻しているかもしれない。)

PREP法で文章を再構成する

さて、これらの各要素を書く順番だが、いくつか方法がある。代表的な書き方は、PREP法と呼ばれるものである。この方法は一言で言えば、「結論を書いて、それをしようと思った理由を書き、裏付けとなる例やエピソードを書き、最後に再び結論を書く」という方法である。

PREP法

  1. Point
  2. Reason
  3. Example
  4. Point

の順で、物事を記述する方法

ビジネスの現場で求められる力のひとつに、ポイントを整理した上で結論から述べて発言する、というものがある*1。間違っても起承転結でESを書いてはならない。ESを読んでくれる人は超特急であることが多いと聞く。超特急で見ないと、大量にやってくるESをとても捌き切れないからである。したがって、必ず結論から述べなければならない。

 PREP法にwhat、why、howを当てはめると、次のような順番で書けばよいことになる。

  1. Point = what
  2. Reason = why
  3. Example = how
  4. Point = what

最後の4番目のwhatは、そのまま書いたのでは面白みに欠けるので、多少変形して「御社でこの力を活かしたいです!」みたいなことを書くといいかもしれない。

ESで困っている方は、ぜひ使ってみてください。私はまだESを大手にほとんど出していないので、大手で通用するかはわかりません。しかし、今のところESで落ちた企業は一つもないので、多少合理的な書き方なのだと思います。

*1:就活の説明会で出会った学生の8割〜9割は、このことが頭にないのだろうか、質問がとても冗長であると感じる。これは指摘しておかねばなるまいが、ああいった長い質問は他人の時間を奪っていることを自覚すべきだと勝手に思っている。

突き抜ける人材になるためのキャリア

今日はいい話を聞けたので、カンタンに記しておこうと思う。

就活市場では、「業界」が選択の中心になっているが、転職市場の代表格であるリクナビネクストを見ると「職種」が選択の中心になっている。つまり、世の中で一般的に重視されるのは、「職種」の方だということになる。

だから、職種選びは非常に重要だ、という話。もちろん、転職を希望するなら、という話なのだろうが。

また、転職を狙うのであれば、現在の職種と親和性・シナジー効果の高いものでなければならないという点。営業とマーケティングは、シナジー効果が高いと言えるが、一方で営業と経理はあまりシナジー効果が高いとはいえない。

ただ、これを考えるためには、自分が将来的にどういうキャリアを歩みたいかをある程度明確にしておく必要がある。目標から逆算しなければ、ムダなキャリアをたくさん積むことになってしまうからである。

僕の場合、将来的には経営に参画できるような人材になりたいと思っている。ただ、単に経営ができる人間というよりは、自分がある程度技術とその思考についてわかった状態で、経営に参画できる方がいいと思っている。したがって、技術的な経験も少し積みたいといったところだ。

今日、SEがどう勉強するかというような本を読んで感じたことだが、SEのカバー領域は(会社によるだろうが)かなり広い印象だ。これは僕が望んでいることで、できるだけ多くのことを吸収して無双状態になりたいと思っているので、SEというキャリアは非常に合っているのではないかと思う。これは経営参画をする際には非常に優位性をもつと考える。

あと、エンジニアが経営に参画できるレベルの人材になるためにはどうしたらよいかという質問をぶつけてみたところ、エンジニアの場合は、次にマーケティングを経験し、最後に営業を経験するといいんじゃないの、というアドバイスをもらった。これは別に1社につとめなければならないわけではない。どこかのベンチャーとかで、無料でマーケティング立案をさせてもらうという手があるそうだ。なるほど。少し疲れそうだが、自分の将来のためにがんばるかあと。

ま、その前の希望通りSE(か、Webディレクター)で内定が取れないと意味がないんだが(´;ω;`)

ベンチャー企業の説明会に行くと、大手出身者が多い件について回答をもらった

お世話になっているキャリアコンサルタントに聞いてみた。やはり想定通りというか、「大手に入ってからその後ベンチャーに転職するのは難しくはないが、ベンチャーから大手企業に転職するのは相当の実績をあげた人でないと厳しい」という回答をもらった。したがって、そういう人[大手→ベンチャー転職者]は数値上多くなる、と。

そもそもキャリアコンサルタントベンチャーを進める理由っていうのは、僕の想像だが、自分たちの顧客にベンチャー企業が多いから、商売上すすめることになるのかな、といった感じ。それは、彼らのビジネスモデル上しかたのないことで、僕はとくにそれを悪いとは思わない。

もちろん、キャリアコンサルタントベンチャー企業に務めている人事担当者は、自分自身の働いた経験でもって、「ベンチャーは楽しいよ」ということだろうし、僕もそのことは否定しないけれど、僕は「いやいや、あなたたち、少し前まで大手にいたんでしょう?」といいたくなってしまう。大手からベンチャーに行けば、数年間は環境の劇的な変化で楽しいと感じて当然だろう、と。

ただ僕は、正直会社の規模はどうでもいいかもしれないと思っている人間だ。仕事は自分でとってくるつもりでいるし、自分が会社を稼がせるという意識をもって働けるタイプなのではないかと思う。会社の規模感が問題なのではなく、入ってから自分がどういう心持ちと決意で働くかの方が問題であろう。

まあそんな感じで、とりあえず業界だけは昨日あらかた方向性が決まりました。あと、上述したこととは少し矛盾するかもしれないが、それなりに大きいところにやっぱりいこうと思う。そうしたほうが、将来的に選択肢が大きく広がることになるからだ。

もっとも、入ったベンチャー企業が20年後大企業になっている可能性も、もちろん否めない。そうなったらおもしろいだろう。

あと、ITコンサルタントって業種なのね。知らなかった。

就活に悩んでいる

就活に関して、自分の気持ちをまとめるために記事を書こうと思う。若干、焦っている。周りのペースと自分のペースは違うから、マイペースにやればいいという意見も賜るが、それでもこのままではマズイという思いがある。とくに、「業界」「企業規模」「職種」の考察が甘いと感じている。

なぜ、就活をするのか?

進路はひとつだけではないはずだ。大学院進学という手もある。それなのになぜ、就職という道を選ぶのか。

大学院には行かない理由

大学院に行きたいか、行きたくないか。正直なところ、行きたいというのが本音だ。2年生の頃に頭がおかしくなって、単位を大量に落とすという失態は犯したものの、根は勉強が好きで、もう少し公共性について深めたいと思っている。

だが、大学院進学は、現状の家計状況ではとても難しいという現実がある。親の年収を見て思ったが、自分はよく大学に通うことができているなという感じである。自分の中には大学院にいってもう少し公共政策について勉強したいという思いはあるが、一旦就職して自分のお金でもう一度再チャレンジするという道を選ぶことにしようと思っている。*1

就活を行う理由

就活を行うからには理由があるはずなのだが、「周りがするから」という理由もひとつある。しかしそれ以上に僕は、「自律するため」という理由から、また「自分のビジョンを追求したいから」という理由から、就職活動をしている。

「自律するため」というのは、当然金銭的に親に頼らずとも生きていけるように就職をしようということである。つまり、本当の意味で「大人になり」「離乳する」ということだ。僕は、金銭的に離乳できなければ、すなわち親に一円でも頼って生活しているようでは「大人」とは呼べないと思う。

しかし、現状はどうだろうか。家賃や光熱費は、まだ親に払ってもらっている状態だ。ケータイ代は2年の頃から自分で払うようにしているが、まだまだ金銭的に独立しているとはいいがたい。この状況は、まだまだ甘い。だから、本当の意味で独立し、自分の足で歩いて行くために就職をしようと考えている。

また、僕は大学のうちに政治の世界や行政の世界を見る機会に恵まれた。そこで感じたことは、とにかく「ムダ」や「ムラ」の多い世界であるということだ。こういったムダやムラに議員は翻弄され、行政の意思決定も遅れる原因となっていると僕は実感した。ムダやムラが多いから、国が動かない。経営に置き換えてもそれは同じで、どうしても意思決定が遅くなり、会社の生産性が上がらない。それゆえ、日本企業の利益がどんどん落ちてきている(かもしれない)*2

ムダやムラとは、具体的には行政で言うと「紙の多さ」。これは、資源と経費のムダである。あるいは普通の会社などでは情報共有に課題があるという話も新聞などで読んだ。これは、意思決定のムラに該当する。また、テレビ会議の質を向上させれば交通費を節約できるなど、カネの面でも大きくムダやムラがまだまだ存在するだろう。このように、経営資源のムダやムラをなくす仕組みづくりをすることが、自分のもっともやりたいことに近いと感じている。

だから僕は、世の中から不必要なムダやムラをなくすことができれば、世の中はもっとよくなるんじゃないかと思っている。したがって、「世の中から不必要なムダやムラを徹底的になくす」ことを、自分のビジョンとして持っている。そして、これを達成する場所や環境に行くための、就職活動である。

こういった理由で、僕は就職という進路を選ぶことにした。

業界はどこにするのか

業界は悩んだけれど、今考えているのはIT業界と広告業界だ。自分のビジョンを中心に考えたとき、やはり真っ先に思い浮かんだのはこの2つだった。もちろん、自分の狭い了見の中から判断したものであるから、読者の方々の中でもしも他に、僕のイメージに合う業界をご存知の方がいらっしゃればぜひ教えていただきたいと思う。

IT業界は、最も自分のビジョンに近いと思っている。説明会に何社か足を運んだ感じでも、経営課題の解決やペーパーレス化による業務負担の大幅な減少など、自分の問題意識と近い部分が多い。

また、僕が問題意識を持っているのは行政や政治領域へのIT導入だから、できれば大手企業で、顧客に行政を持っているようなところに入社するのが望ましいのかなと思っている。

ただ悩みとして、IT業界の人達がどういった雰囲気で働いているのかがよくわからないので、そこを知ることが今後の課題といった感触である。

広告業界と自分のビジョンとの関係性についてだが、僕は、消費者はまだまだムダな情報に踊らされているんじゃないかという印象を持っている。つまり、現代の広告活動にはまだまだムラが多いのではないかということだ。

テレビCMなどは典型的な例だろう。僕はG力の出演しているCMなど見たくもないのだが、自分の意志とは無関係にa○のCMが流れてくるという現状がある。これは、ムダ以外の何者でもない。

だから、広告会社に入って、セグメンテーションや知覚マップをしっかり利用して、適切なSP活動を行うことは、最終的に自分のビジョンを達成するために必要なことではにないかと考えている。

また、僕は今までWebデザインやプログラミングにも触れたことがあるから、自分の特性上、こういった業種が最も力を発揮できるのではないかという打算的な理由もまたある。

もちろん、これら以外にも世の中の効率化を行おうと努力している業界はあるだろう。それは僕の狭い視野のせいで探しきれないことだから、ぜひこれからも発見し次第検討したいと思っている。

企業の規模で悩んでいる

で、悩みなのは企業の規模だ。僕は、若いうちから責任ある仕事をどんどんやって実力をつけ、40歳くらいで独立するなり研究者になるなり政治家になるなり、そういった第二のキャリアを歩みたいと考えている。

これを考えるに至った理由は、40代といえばちょうど2040年〜50年ごろにあたり、その頃と今とでは全然世の中の状況が変わっているからである。未来永劫同じ働き方をすることは、ある意味で自殺行為だと思っている。

だから、最初はベンチャー企業や従業員が少ない企業で責任ある仕事を任され、それをこなしてステップアップするのがよいのかなと思っていた。

ただ、ベンチャー企業の説明会にいって感じたことは、ベンチャー企業にいる人達が「リクルートから転職してきました」「インテリジェンスから転職で、」などと言っている人が多いことである。これは気になる点だ。大企業に入ってその後転職した方のが、キャリアパスとしては有利なんじゃないかという僕の疑念を呼び起こす。果たしてどうなんだろうか。これについては真剣に悩んでいて、明日キャリアアドバイザーと会う予定があるので、聞いてみたいと思っている。

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悩みについてはこんなところです。バーっと書き出しましたが、深夜ということもあり頭が回っていません。また明日、気になる点があれば書き足したい所存です。

*1:ただ、京都大学に博士課程でおもしろい(しかも、費用はある程度まで大学側負担で)学部を発見したので、そこを受けるために勉強するのはアリかなと思っている。ただ、5年も博士課程に費やすとなると、年齢的に色々縛られてきてしまうのではないかという懸念を持っている。

*2:ここを面接などで定量的に説明できるとよいかと思う。

永遠平和のために

レポート作成のために読んでいるので、予備条項については本論に含まれていて関係ないものとみなし、書いていない。

第一章 国家間に永遠平和をもたらすための六項目の予備条項
  • 戦争原因の排除
    • 「将来の戦争の原因を含む平和条約は、そもそも平和条約とみなしてはならない」
      • 敵対的な状態を延長しただけで、今後戦争の可能性があり平和を目指したものではないから。
  • 国家を物件にすることの禁止
    • 「独立して存続している国家は、その大小を問わず、継承、交換、売却、贈与などの方法で、他の国家の所有とされてはならない」
      • 国家は土地とは異なり財産ではないから。
      • 国家は人間が集まったもの。内政干渉の禁止。
      • 共通の敵でない国と戦争するために自国の軍隊を他国に派遣することも同様。
  • 常備軍の廃止
    • 常備軍はいずれは全廃すべきである」
      • 常備軍をもつ=いつでも戦争をはじめられる状態
    • 「財貨を蓄積することも、兵力の増強と同じ効果を発揮することになる」
      • ほかの国から見るとただの脅威
  • 軍事国債の禁止
    • 「国家は対外的な紛争を理由に、国債を発行してはならない」
      • 経済的な必要上であれば、国債の発行は怪しむべきではない。
      • 列強が力を競い合うための道具として国債システムを利用→負債が膨れ上がる→危険な財力
    • 国債の発行によって戦争の遂行が容易になる事態は避けるべき。
  • 内政干渉の禁止
    • 「いかなる国も他国の体制や統治に、暴力をもって干渉してはならない」
      • ひとつの国家がふたつに分裂して、それぞれが独立を主張した場合→片方に援助したとしても、体制を変更するための介入とはならない(∵その国は無政府状態)
      • 国内の紛争がまだ解決されない状態で他国が加入→体制を立て直そうとする国民の権利侵害→他国を傷つける蛮行、国家の自律を危うくする
  • 卑劣な敵対行為の禁止
    • 「いかなる国家も他の国との戦争において、将来の和平において相互の信頼を不可能にするような敵対行為をしてはならない」
      • ex. 暗殺者や毒殺者の利用、降伏條約破棄、暴動の扇動
    • 「戦争とは、法に基づいて判決を下すことのできる裁判所のない自然状態において採用される悲しむべき緊急手段であり、暴力によって自分の権利を主張しようとするものである」
      • 自然状態においては、戦争の結果が正当性を示す
    • 卑劣な敵対行為は戦争を増幅させるだけ。
 
第二章 国家間における永遠平和のための確定条項
  • 自然状態の破棄
    • 自然状態は戦争状態である。敵対的行為の脅威がつねに存在する。だから、平和は「新たに創出すべきもの」
  • 第一確定条項「どの国の市民的な体制も、共和的なものであること」
    • 共和的な体制の構成条件:各人が社会の成員として、自由であるという原理が守られること。社会のすべての成員が臣民として、唯一で共同の法に従属するという原則が守られること。社会のすべての成員が、国家の市民として、平等であるという法則が守られること。
      • 共和制の下では「戦争をするかどうか」については「国民の同意」が必要
      • 共和制でなければ、元首の意向で戦争がはじまってしまう。戦争の娯楽化。
    • 3つの体制
      • 君主制、貴族制、民主政
      • 憲法を作る。共和的か専制的か
      • 民主政はほんらいの意味で必然的に専制的な政体
        • 民主政の執行→全員の一致という名目のもとで決議可能
      • 代議的でない統治形式は、ほんらいまともでない形式
        • 立法者が同じ人格において同時にその意志の執行者となりうるから
        • フリードリヒ2世「朕は国家の最高の従僕にすぎない」
      • 「国家権力にかかわる人格の数、すなわち支配者の数が少なければん少ないほど、そして支配者が代表する公民の数が多ければ多いほど、国家体制はそれだけ共和的な体制の可能性に近づく」
        • 完全な体制に到達するのは君主制、貴族制は実現困難、民主政は暴力革命が必須
      • 代議制が重要
  • 第二確定条項「国際法は自由な国家の連合に基礎を置くべきこと」
  • 自然状態にある民族は、たがいに隣あって存在するだけでも、ほかの民族に外を加える。→個人が国家において権利を守られるような仕組みを作る権利がある
  • ただしこれは「国際的な連合」であるべきで、「国際的な国家」であるべきではない。
    • 国家は上位のものと下位のものとで構成されている→国家が統一されると、民族間で序列に差が出る。これはおかしい。
    • すべての国は少なくとも法と権利に敬意を表明しているが、これは人間にひそむ悪魔の原理を克服できることと、他者も同じように克服できることを期待できることを示す。
    • 和平条約を結んだとしても常に戦争の口実を探し続けるのが常→平和連盟の重要性
      • 和平条約はひとつの戦争を集結させようとするもの、平和同盟はすべての戦争を永遠に終わらせようとするもの
      • 客観的にすべての国が加盟する可能性を示せる:共和国を設立すると、平和を好む傾向により、自国とすべての他国を連合させる結合のかなめとなる。それがどんどん広まる。
    • 他国との関係のもとにある国家が自然状態や戦争の支配する状態から抜け出すためには→「国家も個々の人間と同じように、法の定めに従わなければならない未開な状態における自由を放棄して、公的な強制法に服し、つねに大きくなりながら、ついには地上のすべての民族を含むようになる国債国家を設立する」
    • ひとつの世界国家という積極的な理念の代用として、「消極的な理念」が必要
      • たえず拡大し続ける「持続的な連合」
      • 連合が戦争を防ぎ、好戦的な傾向の流れをせきとめる。
  • 第三確定条項「世界市民法は、普遍的な歓待の条件に制限されるべきこと」
  • 歓待=よきもてなし。外国人が他国の土地に足を踏み入れたというだけの理由で、その国の人から敵として扱われない権利
    • 外国人が主張できる権利:客人の権利、訪問の権利
      • 人は共存するしかないからこういう権利が重要
    • 歓待しない国は利益を失っている、という例

感想とか

私が対比してみたいと思ったのは、いわゆる「大戦略」と呼ばれるものと、カントの提唱する永遠平和における戦争の捉え方の違いである。クラウゼヴィッツは、戦争は政治的な問題解決の手段としては欠くことのできないものと考えていたようで、以下の言葉を残している。

「戦争は政治的行為であるばかりでなく政治的手段であり、敵と味方の政治交渉の継続にすぎず、外交とは異なる手段を用いて政治交渉を遂行する行為」―クラウゼヴィッツ『戦争論』

一方でカントは、上に書いたように戦争を完全悪として捉えているようだから、その点を対比してみると、「では政治とはなにか?政治的解決とは?」という論点が出てきそうだと思ったが、授業の目的とは違うので難しいみたいだ。

「歓待」ということばがでてきていたから、「相互依存」をキーワードに、「国際公共哲学」という観点から論じることができるとレポートがひとつできそうだと感じている。

『経営がわかる会計入門』

1章
■自治体へのバランスシートの導入
  • 自治体によるバランスシートの好評は、深刻な財政状態の現れ
    • 負担の増加やサービスの低下を市民に覚悟するよう迫る?
 
2章 会計とは
■会計は企業を映し出す鏡か
  • 会計は歪んだ鏡であることが宿命
    • バランスシートに使われる「言葉」や「数字」に歪みが存在
      • ことばはゆらぎを持つ。
    • ひとつの経済的事実に対して、複数の解釈が存在する可能性
  • 会計には経営の判断が必要
    • 会計規則が詳細に定められたとしても、経営者や会計担当者の意図が含まれてしまう(例:日産自動車のV字回復)
    •  アメリカの証券取引所に上場している日本企業で、日本の財務諸表によれば利益が出ているのに、アメリカ向けの財務諸表では損失が出ていたという例
  • ・会計の役割
    1. 説明責任:株主総会とか
    2. 経済的意思決定:現状を認識した上で、未来に向けて何をすべきか
    3. 利害調整

参考文献

『経営がわかる会計入門』永野則雄:筑摩新書

財務諸表を非常にわかりやすく解説しており、入門書としては適切であると考えます。うちの大学では『財務会計講義』という本を、財務諸表の授業で教科書として指定していましたが、今回紹介している新書は、その本を読む前の足がかりとして適切です。

はじめに―『民主主義のつくり方』

さっそくだが、一冊民主主義に関する勉強をしたので、「はじめに」の章のレジュメをあげておこうと思う。

はじめに

〈ルソー型〉から〈プラグマティズム型〉へと民主主義像を転換するのが本書の目的。

■〈ルソー型〉:たしかに一般意志の考え方はおもしろいが、一般意志という「フィクション」に頼らずに民主主義を論じる方法を開拓したい

  • ・ポイントは主権論
  • ・近代ヨーロッパの主権論は宗教戦争が発端。必要なのは、複数の世界観を超越するひとつの意志の存在が必要であると考えた。  
  • ・ただ、差異を認めない点で少々抑圧的
  • →結果的に、現代では市場モデルで政治を語ることがひとつの流行
  • →「各個人がそれぞれの意志をもって、相互に無関心なままに行動する」「各自の自己利益の追求が、市場のような非人格的なメカニズムによって調整される」
  • →共同の意思決定としての民主主義という理念を完全に放棄してもよいのか

■〈プラグマティズム型〉:人びとの「信じようとする権利」を最大限に活用=自分の選びとった理念を追求する権利があり、重要なのはむしろ、そのような理念が結果として何をもたらすか

  • ・「理念」=人間が世界に適応し、世界を変えていくための実際的手段。理念は人間と世界をつなぐ媒介。
  • ・プラグマティストは理念がそれ自体真理であるかどうかにはほとんど興味をもたなかった。
  • →「重要なのはむしろ、各自が自らの理念をもつことに関する平等性と寛容性である。」
  • ・習慣の重要性
  • →「人々は行動の必要にかられて判断し、事後的にその根拠を探る。そのような行動が繰り返され、やがてパターン化していくことで習慣が形成される。」
  • ・「新たな習慣をつくり出すことによって、社会はつねに更新されていく可能性がある。」

一章

  • トクヴィル『アメリカのデモクラシー』
    • 重視したのは「民主主義の種子」。
      • 民主主義とは、名もない人が実際に経験したことや、その感覚である
        • その感覚=自分たちがだれにも属していないという感覚。
          • 人間は等しく平等で自由、誰も特別な存在ではない
        • その感覚=自分たちで社会をつくっていかねばならないという感覚
          • いいことも悪いことも、自分たちですべて作る。
  • イソノミア:アーレントハイエク
    • イソノミア=「古代ギリシャ都市国家における市民館の政治的権利の平等を指す言葉」「同時に民衆の支配する政治体制を意味」→その後英語では、法の前の平等を示す
      • アーレント的解釈:「市民が支配者と被支配者とに分化せず、無支配関係のもとに集団生活を送っているような政治組織の一形態を意味していた」
    • ハイエク的解釈:法の前の平等を強調。近代は法の前の平等が蹂躙される時代。法の前の平等の確認が改めて必要。
  • トランセンデンタリズム(超越主義)
    • 「個人の道徳感情宗教的直観を通じて、どこか遠くに超越的なものを仰ぎみる
  • プラグマティズムと経験「経験」=試すこと
  • プラグマティスト=とくに日常経験の意義を主張した人たち
    • 経験とは、人びとが他者とともに、その行動によって世界とかかわっていく過程
  • ウィリアム・ジェイムズ純粋経験」「多元的宇宙」
    • ジェイムズは宗教的なアプローチを行った。
      • 南北戦争の経験。
      • 十分な判断材料がないにもかかわらず、人間は何らかの選択をしなければならないことがその運命である。
      • 「信じようとする権利」の強調にも現れている
      • ジェイムズにとっての宗教とは、まず何よりも、平等社会を生きる個人の不安を和らげ、肯定的に人生を捉えようとするものである
    • 「多元的宇宙」
      • 世界は単一の合理性によってすべてが決定されるものではない。
      • 多元的な世界は、帝国や王国より連邦共和国に近いものとなる
    • 純粋経験
      • 純粋経験」=世界を主観と客観、あるいは自らの意識とその対象に区別する以前の状態
      • 西田幾多郎に近い
  • デューイ
    • 一人ひとりの個人が「私はどのように生きるべきか」という問いに、自分なりに答を出すことを重要視
  • 戦後の経験=藤田省三
    • 日本の荒廃のなかに再出発点となるべき「経験」を見出し、その意味を考えた
    • 「経験とは物と人間との相互的な交渉のことであり、物事との自由な出遭いにはじまって物や事態と相互的に干渉する」
      • 経験を「相互作用」「相互的交渉」としている点が重要
    • 藤田独自の「経験」=「経験の重視と自由の精神とは分かち難い一組の精神減少」
      • 経験が失われれば自由も失われる
    • 経験を拒み、言い換えれば自己に拮抗し拒絶を示すような事態との遭遇を回避し続ける時、逆説的に人は自動的な機械の部品にならざるを得ない
  • (補足)災害ユートピア
    • 災害時の方が人びとが協力しあう風潮があり、それが理想郷に近いこと

メモとか

「はじめに」によって類型化された〈ルソー型〉と〈プラグマティズム型〉の分類は非常に興味深かった。

参考文献

『民主主義のつくり方』、宇野重規